To err is human.
医療関係者以外の人が、医者に何を求めているのか、おぼろげながらに見えた気がしました。わたしには厳しすぎるように思われる、その基準に照らし合わせると、わたしはおそらく、不適格であるように思います。
向き不向きこそあれ,理想的な医者は理想的な人間よりも少ない。にも関わらず,それに近づこうと思え,実際その為に何某かができるなら,「適性がある」と言えるのだろう。自分の文章を引用するのは気が引けるが,
かつて,「目が見えないもの,耳が聞こえないもの,口がきけないもの」には,「絶対に」医師免許が与えられない時代があった。大昔の話ではない。つい数年前までの話だ。日本では医師は医療の全てを行う権利がある。しかし,これは一人の医師が医療の全てを「行える」ことを意味しない。医療の全てに関する知識と技術がある医師は,人間のあらゆる営みにおいてそうであるように,この世にいない。
しかし,それでも医療は世の中に必要とされていて,だからこそ,資格があり職業がある。医師は皆,限りない医療の広がりの中で,自らが引き受けられるものを模索する。医師とはある意味で個人ではない。むしろネットワークの総和なのだと私は思う。
人間性においても,何ほどの違いがあろうか。
「知識も技術もあるはずないけど,それは医者になれば何とかなるかもしれない。でも,人間性には全く自信ないなぁ」
とかつて思い悩んだ医学生は今,解剖学をやっている*1。
手を抜け 気を抜くな 時々怠けるな
大活躍するのを待っている
ものすごく楽しみだ
奥田民夫:人の息子
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*1:だから解剖学を選んだわけではないので。念のため。