絶対違う!

某ブログでグロ動画として「アメリカ医学部の解剖実習ビデオ」なるものが紹介されていた。およそここで紹介する気になる代物ではないが,ご覧になった向きもあるかもしれないので,リンクは張らずに触れておく。アレは確かに解剖ではあるが,解剖実習とは似て非なるモノだ。手技などから考えて,おそらく司法解剖に類するモノではないかと思う。
どこが違うのか言い出せばキリがないが,もっとも本質的なことを一つだけ。あの解剖は臓器にしか興味がない解剖で,手技も解説も「臓器をいかに手早く取り出すか」に,もっぱら意が注がれている。死因を調べることが目的の病理・法医解剖であれば,それはとても重要なことで,それが解剖の目的だと言ってよいだろう。だが解剖学の解剖では,臓器を取り出すのが目的ではない。取り出さなければ剖出できないモノが他にあるからやむを得ず取り出すので,摘出は手段に過ぎない。観察こそが唯一最大の目的である。そして,解剖実習において観察されるべきモノは臓器だけではないのだ。

  • それにしたって

司法解剖だとしてもあの解剖はちょっと杜撰過ぎるなぁ。メスの持ち方からしてなってないのが,どうにも気になって仕方ない。