個人HPで患者中傷
医療系ブログを震撼させたこの報道について,遅ればせながら一言。
上記記事にはブログの抜粋なるものが掲載されている。記事によれば
匿名ではあるが、外来や入院、救急外来での診療内容や手術の様子などが克明に記されており、本人が読めば分かる内容になっている。
それが守秘義務違反だというのは否定しない。しかし,ではその本人が読めば分かるという内容をマスコミの公式ページに掲載するという報道姿勢はいかがなものか?批判する側が同じことをするというのが,私にはまずもってどうしても納得できない*1。
また、手術の不手際や、酒に酔って手術に臨んだ際の様子も書かれている。
手術の不手際を書いてはいけないというのであれば,診療において起きる数々のトラブルや疑問をインターネット上でディスカッションしてはいけないということになる。少なくともパブリックなページでは,だ。結果「医師限定ページ」なるものが増え,クローズドな環境で医者は「密談」を交わすことになる。その時マスコミは「医療の閉鎖性」を問題視するのだろう。
甲状腺が焼けるにおいを「海産物の香り」、心停止した患者の目を「鮮魚売り場の魚」と表現している。
正直に言う。前者についてはそのどこが問題なのか私には分からない。解剖学者として,非常に勉強になる記述である。貴重な経験を教えて下さった先生と,紹介して下さった産経新聞社に,心より御礼申し上げる。
私とて居酒屋で飲めば,話題は選ぶ。私の資格と職業を知るなじみの客に話しかけられれば,どんなに酔い潰れていても緊張するし,それなりに言葉も選ぶ。その点では,確かにいただけない部分も数多い。しかし,このサイトを自分で発見していたとしたら,「まずいんじゃないの,コレ」と思う一方で,密かに応援したい*2とも思っただろうというのが,率直な感想である*3。
オフラインで知る医師や医学生が日記を更新してくれるのは,それが難しいと知るだけに,とても嬉しいものだ。オンラインで知った方であっても,もちろん嬉しい。悲痛な声を聞き,閉鎖やプライベートモード設定を眼にすれば,心が痛む。淋しく悲しいことだが,これでまた私のアンテナからいくつかのサイトが消えることだろう。