厚生労働省 御中

医師の氏名、ネットで検索可能に・厚労省方針
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2005110910736h1

 厚生労働省は9日、医師や歯科医師の資格を持つ人物の氏名などをインターネットのホームページ(HP)で検索、確認できるシステムを導入する方針を固めた。医師が免許取り消しや業務停止などの行政処分を受けた場合、処分期間中はその内容も公開する。
 同省は「国民が安心して医療を受けられる体制づくりの一環として2007年度から始めたい」としている。
 医師法によると、医師になるには国家試験に合格して厚労省が管理する「医籍」に登録、厚労相から免許を受けなければならない。医籍には氏名、生年月日、登録番号、合格年月、行政処分などの事項を登録する。
[2005年11月10日/日本経済新聞 朝刊]

かつて貴社は医師国家試験合格者の発表に関連して,報道機関各社に対し以下のようにコメントされました。
定例事務次官記者会見概要(H17.06.23(木)14:05〜14:28 省内会見場)
http://www.mhlw.go.jp/kaiken/jikan/2005/06/k0623.html

(記者)
 先日報道されましたが、医師の国家試験の合格者について非公表に付されるという報道がされましたけれども、その方針がもし今も変わらなければその理由を改めて伺いたい。

(次官)
 医師の国家試験につきましては、これまで受験生の方ご本人に対して合否の通知を行うほかに、受験結果をなるべく早くお知らせするということも考えて、受験地と受験番号、氏名を記載した合格者名簿を掲示し、昨年までは報道機関各社に対しては、掲示はカタカナ氏名だったわけですけれども、漢字氏名の名簿を提供申し上げてきたわけであります。ここはご案内のところですけれども、今年4月の行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行を契機として合格発表の方法についていろいろ検討をしたわけであります。
 今申し上げた法律の趣旨、それからかねてから新聞紙面等で氏名の公表をしていることについて「やめて欲しい」という受験生の方、これは合格された受験生の方、不幸にして合格されなかった受験生の方両方からそういった苦情というか要請というかがあったわけでありまして、その辺りを踏まえて今年は漢字氏名の名簿を提供することを控えさせていただいて、合格者名簿の掲示内容と同じものを報道各社に提供申し上げたというところであります。
 今回はそういうことでやったわけでありますが、今後どうするかということでいろいろ検討をしてきたわけです。1つはやはりいちばん重要なのは受験生ご本人が早期に正確な合否情報を確認できることであろうと。それから先ほど申し上げた個人情報保護に関する法律との整合性を考えることが重要じゃないかということ。先ほど申し上げたような受験生の方からの要望もなおあるということ。それから今年のようにカタカナで氏名を公開した場合にも地域の学校の卒業生名簿とかと照合すると個人が特定できる可能性があるんじゃないかということ。いろんなことを検討いたしまして、今後の合格発表については受験地と受験番号のみを公表することになったということであります。*1

確かに医師資格の公共性と個人情報保護をどのように両立していくかは,難しい問題であり,どちらが正しいというものではないと考えます。しかし,私にはこの2つの処置をともに矛盾なく理解することが,どうしてもできません。
本日突然公開となりました医師等国家試験問題および正答にしても,国家試験のあり方を180度変える大転換であるにも関わらず,当該ページには一切説明がありません。これにつきましても,私には貴社のお考えが理解できずにおります。
貴社の業務はこれらに限らず,また医師のみならず,広く国民の健康と安全に関わるものであります。またそれ故に,貴社が確固たる方針の基に,首尾一貫した施策を実施されることは,国民の願いでもあると思います。是非納得できるご説明をいただきたく,この場を借りて篤くお願い申し上げます。

*1:下線部は筆者による。