医者ですが何科?

「各所で散々ダメ出しされている」とちりん先生ご指摘の件について。仰るように「誰が考えたって内科医と小児科医と産婦人科医の人数が同じはずない」のだが,そう言えば医師足るモノ2年に一度は厚生労働大臣に近況報告をせねばならぬと,医師法で決まっているのであった。

第6条3 医師は、厚生労働省令で定める2年ごとの年の12月31日現在における氏名、住所(医業に従事する者については、更にその場所)その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年1月15日までに、その住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出なければならない。

一方日本国憲法によれば,厚生労働省のお役人様は大臣の下僕ではなく,全体の奉仕者である。

第15条2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

というワケで,有能にして順法精神にあふれた官僚様は,厚生労働大臣宛の近況報告を全体にご披露下さっている。子細を見る気がしない余裕がないのが残念だが,ありがたくご紹介させていただく。

 「診療科名(主たる)」別にみると、「1 内科」が73,670人(28.7%)と最も多く、次いで「12 外科」23,240人(9.1%)、「13 整形外科」18,771人(7.3%)となっている。

 「小児科」の従事者は、14,677人となっており、年齢の低い従事者は「病院」に多く、40歳代後半から「診療所」が多くなっている。
 また、「産婦人科・産科」の従事者は、10,594人(産婦人科10,163人、産科431人)となっており、年齢の低い従事者は「病院」に多く、50歳代半ばから「診療所」が多くなっている。

References

  1. id:physician:20060524#p2
  2. id:shy1221:20060525#p1
  3. id:hibigen:20060524:p1

前倒し医師国家試験続報

暫くチェックしていない間に,meduが関連資料を公開していた。

★(その1)特区の目的
http://www.medu.jp/toc/toc01.pdf

★(その2)県庁医師確保対策担当者 御中
http://www.medu.jp/toc/toc02.pdf

これらを見て気が付いた2点。

どちらの資料も,○○県と県名は入っていない。三重県には県名を入れてお持ちになったのだろうが,少なくともmedu側では特別三重県に思い入れがあるワケではなく,むしろ複数の県に話をする意思があるのだろう*1。たまたまそれに興味を持った記者が三重県にいたか,最初に行動したのが三重県であったのだろう。
あるいは,meduのメンバーにそういう提案をした三重大生がいたのだろうか?

  • 全ての学生ではない

がんばった医学生に地域限定医師免許を」というのが,meduが用意したキャッチコピーのようだ。あえて「がんばった」と付けるからには,並み以上に努力した医学生にそういう「権利」を与えようという話で,つまりはカリキュラムにそういうオプションを設けよう…設けられるようにしようと言うことなのだろう。
meduがやろうとしていることは,私も含めて多くのブロガーが考えたコトとは,目的も内容もかなり違ったものであるようだ*2。ちなみに(その1)によると,ポイントは3つあって

  1. 医学部卒業前に国家試験を受験可能にする
  2. 医学生が地域限定の医師免許を取得することを可能にする
  3. 大学病院を義務から努力規定にし,地域の病院に教育機能を分散する

のが目標だそうだ。
3.については記事になかったので,ちょっとオドロキである。現に全ての医学部が附属病院を持っている以上,新設の医学部・医学校ができない限りあまり意味を持たない提案にも思えるが,meduの目指すベクトルの方向と高さは(正しいかどうかはともかく)理解できる。

*1:既にしているのかも知れないが。

*2:医師不足対策が本音ではない」という点は正しかったようだが。

本音のありか

ななこ先生 KU。
専用ブログで医師の本音 「みんな耳鼻科医なっちゃう」
http://www.asahi.com/life/update/0522/003.html

 「科によって給料あげるとかしないと、みんな耳鼻科医とか皮膚科医とかになっちゃうぜ」(循環器内科医)、「研修医の息子が外科医になろうかなって……複雑な心境」(外科医)――そんな医師の本音をインターネットで読める専用ブログサイトが4月から始まった。閲覧は誰でもでき、医師と一般の人との距離を縮めることが狙いだという。

 サイトは「ドクターズブログ」。00年から医療関係者限定のサイトを手がける「ソネット・エムスリー」(本社・東京都港区)が運営する。ブログの書き込みは、身元確認した会員約29万人のうち、約12万5000人を占める医師に限って認めている。

この見出しは耳鼻科医に失礼だと思うが,それはさておき。
医者を語ってブログを書くのは偽医者をやるより難しいと思うけど,世の中には医者と保証してもらわないと医者の意見と信じられない人や,誰かに医師と保証してもらわないとブログを書けない*1お医者さんがいるのですねぇ。本当はそもそも医者の意見かどうかなんてどうでもいいんじゃないか*2と思うのだけど。
聞けるのはあくまでも医者が「医者として」言いたいことであって,言い換えればそれは医者という仕事が「言わせてる」ことなのだと思います。私は当分チェックしません*3

*1:保証してもらえればブログを書ける,と言うべきか?

*2:どうでもよくないとしたら,既にかなり危ない橋を渡っている。

*3:が,面白いのあったら教えて下さい。m(__)m

先生あのね

上手く言えないんですけど,夢って持っていたいですよね。ウン。
…それって,持つモノで語るモノじゃないと思うんだけど。
それは創り難くて壊れ易くて,だから必死になって
人はそれを創り守ろうとするんだと思います。(・-・)

足りないのはお医者さん?

はてな::メディカルにご参加いただいている医学教育振興センター(medu)が,興味ある活動をされているらしい。
当面の医師確保対策(案)について
http://blog.medu.jp/2006/05/post_92.html
ネット上でもいろいろな観点から活発なディスカッションが行われているし,上記ブログの内容も多岐にわたるが,ここではちりん先生が指摘された

医学部を5年にしても医師確保にならないことを示す。年に100人新たな医師が誕生し、高齢などで年に100人ずつやめていく、4000人の医師集団(100人×40年)を想定する。改正された初年度は、5年生と6年生の2学年分の200人が医師になり、その集団は4100人になり、確かに医師数は増加する。翌年、5年生100人が医師になり、これは改正前と変わらないため、医師数は4100人のままである。次の年も、その次の年も、4100人のままである。

当面と言うのは、この100人のことなのだろうか。同じ論理で医学部を4年にしたところで、現在との差分である200人が(前借りする構図で)1回だけ増えて、それ以後医師数は全く変わらない。ちなみに40年か41年経つと、医師数は4000人に戻る。

という問題について考えてみたい。実際これは全くその通りで,medu自身も

○医学部の定員を増やさない限りは、卒業を前倒ししようとも、医師不足の解消は一時的なものにとどまる
(中略)
そもそも、meduの提案は根本的な医師不足の解決法であるとは考えていません。究極的には、医学部の定員を増やしたりすることが避けられないと思います。しかし今から定員を増やしても医師が出てくるのが8年後であって、即効性がある対策とは思えません。今すぐにできることを考えたところ、国家試験を速やかに受験できるようにすることが有効ではないかという結論に達したものです。

と,その限界を認めている。ただ,このmeduの発言の中で,「究極的には、医学部の定員を増やしたりすることが避けられないと思います。しかし今から定員を増やしても医師が出てくるのが8年後であって、即効性がある対策とは思えません。」という意見には賛成できない。以前書いたように,日本ではこれまでおおよそ20年のスパンで医師数が変動しており,現状医学部の定員は削減傾向である。確かにいろいろな意味で定員は減らすより増やす方が容易だろうが,それでもマイナス傾向が来年からいきなり20年前よりプラスになるとは到底考えられない。仮になったとしても,それが意味を持つのは8年後どころか,20年先の話である。今日の医師不足に対して「医学部の定員を増やしたりする」のは,風邪をステロイドで治そうとするようなモノと言えよう。
そもそも医師は不足しているのだろうか?人の記憶とは実に儚いもので,つい数年前まで厚生労働省とマスコミは,手に手を取って医師過剰をアピールしていた。第12回医師の需給に関する検討会資料長谷川委員提出資料に挙げられた大学医局アンケートによれば,1988年には「既に医師過剰現象が深刻化している」という意見,1992年でも「5年後までに深刻化する」という意見が最多*1であった。ところがその4年後には「当分心配する必要がない」が最多となり,2001年に至って遂に「医師過剰ではない」という意見が最多になったのだった。
この資料は更に5大誌*2の記事の集計を続ける。当時,5件に満たない医師不足報道の裏で,医師過剰を主張する記事は400件近くに上っていた。2005年ですら,医師過剰報道は100件を数え,約40件の医師不足記事を大きく上回る。
たった1年で医師過剰が医師不足となるほどの戦争や病が,この国に発生したのだろうか?何かが起きたとすればそれは医師不足ではなく,医師不足だという認識である。医師そのものがいなくなったのではない。身の回りから医師が消えた,あるいは消えていることに気がついたのだ。
かくして問題の本質は医師の絶対数ではなく,医師の配分である。meduがそのタイトルを「当面の医師確保対策(案)について」としたのは,その意味で全く正しい。meduと言えば昨年情報公開法に基づいて医師国家試験問題公開を厚生労働省に求めたことでも話題になったNPO法人である。「医学教育」振興センターと名乗っておられるのだから,今回の活動も単に医師確保というだけでなく,医学教育とりわけ卒前教育にも何らかの影響があると考えておられるのだろう。medu自身も言っている。

meduは4年次終了時に医師国家試験を受験し、5年生、6年生の2年間を現在の初期研修と同じ内容の実習に充てるべきと考えます。ただ、そうしたカリキュラム改革までには相当な時間がかかると見込まれることから、meduはただちに実現しうる提案をおこなったものです。

と。つまり,meduはこの提案によって,5年生,6年生の2年間のカリキュラムに,何らかの変化が起こるだろうと期待しているワケだ。どんな変化が?私にはそちらの方がはるかに興味がある*3

*1:1988年から92年の4年間で,既に深刻化している問題が一旦収束したというのだろうか?

*2:日経・朝日・読売・毎日・産経だそうだが,何順なのだろう?

*3:興味はあるが,希望は持てない。前倒し>基礎医学削減の方向性が強まることも十分予測できる。

技術から科学へ

解剖の53%はカルシウムで出来ています
解剖の41%は歌で出来ています
解剖の3%はお菓子で出来ています
解剖の3%は言葉で出来ています

<解説>ちなみに人体に占めるカルシウムの重量は約1kgです。言葉が3%というのは,まぁ妥当なところでしょうか。

解剖学の50%はむなしさで出来ています
解剖学の40%はお菓子で出来ています
解剖学の4%は言葉で出来ています
解剖学の4%は成功の鍵で出来ています
解剖学の2%は情報で出来ています

<解説>甘い言葉と成功の鍵に釣られて解剖学をやると,その半分はむなしさに置き換わります*1。情報が2%というのも,まぁ妥当なところでしょうか。
References

  1. 成分解析 on WEB
  2. 人体を構成している元素組成(「原子力百科事典 ATOMICA」より)

*1:まぁ言えていなくもないです。

Field of Dreams

ニャー速。 KU。
パンチョさん見てますか?日本はやりましたよ
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1142922318/

1 :代打名無し@実況は実況板で :06/03/21(火) 15:25:18 ID:76fEg9Tt0
メイジャーリーグに勝ちましたよ。
規模は小さいけど真の世界一ですよ。
天国のパンチョさん、アイクさん、やりましたよ。日本。

>>1こそ神。